瀬戸内経済文化圏

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兵庫|PROJECT

種はおよぐ -食と里のつながり-

神戸の里山、海、街をつなぐ新しいネットワークをじわじわと構築中。

神戸市といえば、三宮を中心とした街のイメージが強いけど、自然豊かな農村エリアも、漁業を続ける漁港だってある。意外とそれって神戸に暮らす人でもあまり認識していないかもしれない。外から神戸を訪れる人も気づかず、素通りしちゃってるかも。 これはもったいない! というわけで、ひとつのプロジェクトがこの春、立ち上がります。

―なんと、このプロジェクトのリーダーを務めるのがイラストレーターの山内庸資さん。

行政の担当者からお願いされて引き受けたことですけど、僕が普段から感じていることにも一致したというのが大きかったですね。

―というと?

神戸では、三宮を中心とした都心部の開発がこの先も続きますけど、僕自身は三宮より西側の街、住宅街が面白いと思って暮らしていて、都心部だけが神戸じゃないよって気持ちはあるんです。長田の街にも長く住んでましたけど、震災復興関連のテレビ番組で“震災から学ぼう”といった趣旨で、長田の復興再開発は失敗だったみたいな総括をされてるのを見て、すごく腹が立って。そうやって勝手にレッテルを貼られる長田だけど、いい街だと思って実際にみんな生活をしてるわけだし、自分も住んでる地域をよくすることから何かやっていきたいとは思ってました。イラストレーターなんですけどね(笑)。

―いわゆる神戸ブランドとして確立されてきたイメージもあるけど、それで見えなくなっているリアルな神戸の面白さもありますよね。

そうなんです。僕が神戸市の西区で育ったのもあって、神戸のいろんな魅力を広く、神戸に暮らしている人も含めて、もっと知ってほしいという気持ちは以前から持ってました。とはいえ、別に「みんなで神戸に住もう!」とまでは思ってなくて、こんなにいい店あるよ、いい街あるよくらいの気軽な感じですけど。

―そんな思いからスタートする「種はおよぐ -食と里のつながり-」、具体的にはどんなことが行われるのでしょう。

ウェブサイトを立ち上げるのは間違いないことですけど、僕を含めて関わっているクリエイターたちが考えながら、試行錯誤をして進めていこうと思っていて、そもそもプロジェクト名自体、ずっと仮名のままで進めてきました。結果をすぐに求めないというのかな。そうやってゆるやかに関わりを増やしていくというのが、実は重要なんじゃないかなと思っています。

―プロジェクトの助走作業として勉強会を行ってきたそうですね。

『「食」と「里」の交流会』という名前で、北区の淡河町(おうごちょう)、弓削(ゆげ)牧場に、徳島の神山や岡山の西粟倉でハブになって活動している人たちを招いて話を伺いました。神戸以外の地域の活動を参考にしながら、淡河や弓削牧場も面白いことをやっている場所なので、そこに人が集まる機会をつくって。これからどうすればいいかをディスカッションしています。

―その交流会はこれからも行われるのでしょうか?

はい。なぜか注目度が高くて毎回、定員いっぱいまで人が集まってますけど、一般にも公開しているイベントですし、立ち上げるウェブサイトでレポート記事も公開予定です。

瀬戸内経済文化圏とも重なるところも少なくない「種はおよぐ -食と里のつながり-」プロジェクト。神戸の里山暮らしの今がより深く見えてくるものになりそうなので、相乗効果でさらなる広がりが生まれることを期待します。

文:竹内厚 写真:片岡杏子

種はおよぐ -食と里のつながり-

農村地域が広がる神戸市北区、西区、漁港を抱える海辺の須磨(すま)区、垂水(たるみ)区、そして、観光地や商業地として各地から人を集める神戸市中心部。その間のネットワーク、人の行き来がより活発になることを目指して、2019年春、まずはティザーサイトを公開。